Episode 35

「飲んでばかり」の僕たちと、ピックルボール

2026-10-26 · 00:50:22
「飲んでばかり」の僕たちと、ピックルボール
お酒の話をするとアドセンスが止まる反応がもらえるのは麻薬唐揚げにレモンかけていいか問題サラダの取り分けは怒られない大皿をやめて定食形式にした夜ご飯はまず「米いる?」の確認からビールが食事の横に許されるのは中華だけ40歳と50歳のおっさんが飲み放題で打ち上げ鳥貴族は後輩から誘ってほしいニコ超は2日目の夜に飲む横丁では氏素性を隠して飲む客なのに手伝いたくなるタイプ上から誘えばパワハラ、下から誘えばおねだりタバコ部屋で仲良くなってしまうピックルボールは誰かに誘われたい

番組がまもなく一年になる第35回は、Opiの「この一年何やってたかってさ、タムカイさんと飲んでるしかやってない」から始まる。二人は飲み会を良いか悪いかで裁かない。飲み会が何をしていたのかを一つずつ取り出していき、そのどれもが「いま誰も誘えない」に突き当たることを確かめていく。最後にタムカイが次の装置としてピックルボールを挙げ、自分も誰かに誘ってほしいとこぼす。その瞬間、番組がその場で段取りを引き受けてしまった。

この回の核心

全員参加の飲み会は、否が応でも人をシャッフルしていた。業務時間にはやりにくい頭出しも、喫煙所やゴルフが受け持っていた。ところがいまは、上から誘えば「言った時点でパワハラ。なぜなら断れないから」、下から誘えば「おねだり」になる。二人はこの構造を批判も擁護もせず、形だけを確かめていく。そして語っている二人自身も、その外には立っていない。

話の流れ

入口は身近な話だった。お酒のレビューを書くとアドセンスを止めると言われて、「変なクサビ」を打たれたタムカイ。自分の喋ったことに反応をもらえるのを「あれは麻薬だよね」と言うOpi。話はお皿を回す役やサラダの取り分け、夜ご飯はまず米がいるかを確かめるプロトコル、「ビールが食事の横に許されるのは中華だけ」へと続く。二人の大きめの仕事の打ち上げは、すべてのメニューが300円均一の店で、鳥貴族は自分からは言い出せない。

そこから現場の飲み会に移る。クライアントもいる飲み会では、プロデューサーがハブになって現場とクライアントをつなぐ。京都のリド飲食街のような店には「氏素性身分を隠して飲む」作法があって、二人とも客なのにカウンターの中で動きたくなるタイプだった。Opiは「普段だと外に出さない会話が発生しそうな場所みたいな、我々好きなんだろうね」と言う。

飲み会もタバコもゴルフも塞がった時代に、タムカイが出したのがピックルボールだった。力任せにスマッシュを打ってはいけないスポーツで、Opiは「新世代のフットサル」と言い、タムカイは「老若男女いけるぞ」と返す。タムカイが「やりたいわって行くのちょっと恥ずかしいんで、誰か誘ってくれる」と言うと、大里Pにプロデュースしてもらう話になる。回は「あ、コート予約しなきゃ。じゃあもう決まり」で閉じた。

創造性の構造 27 でいえば

24. コミュニティの熱量 が一番近い。全員参加の飲み会が起こしていたシャッフルも、隣の客に話しかけていい店も、集まりの熱を生む装置だった。その装置が塞がったあと、何で熱を起こすのかがこの回の問いになっている。

10. 制約の創造性 もこの回に通じる。誘えない、吸えない、ゴルフは重い。その制約の中から、ワンバウンドを待たなければいけないピックルボールという次の装置が見えてきた。

14. 文脈の再構成 は、氏素性を隠して飲む作法に表れている。一部上場の役員が夜の店では説教されて「すみません」と返し、昼の場で会ったら真逆になる。場が変わると、上下の関係がいったん外れる。

誘えない時代に効くのは、誰かが「誘ってほしい」と口に出し、それを誰かがその場で引き受けることなのかもしれない。

この記事は収録記録から起こした下書きです。二人の確認を経て更新されます。